0024 アンカー点検の研修用施設を作りました

2014.04.16

カテゴリー: 活動報告

日本の大動脈を支える新技術SAAM(サーム)ジャッキについては、もう覚えていらっしゃる方も少ないかと思いますが、本お仕事紹介ブログの第一弾「室戸公園線アンカー調査」にて昨年5月にご紹介させていただきました。

こちらが室戸公園線の調査で使ったSAAM(サーム)ジャッキ。

 

どんな技術なのかは、ぜひ過去の記事をご確認いただければと思いますが、簡潔に言うと、道路わきの山の斜面などの表土の流出を防ぐために設置されたアンカー、これが正常に機能しているかどうか緊張力を試験して計るためのジャッキ、なのですが、従来のジャッキは非常に大型で、クレーンで吊り上げて搬入したり、道路を通行止めにしたりせねば取り掛かれないものでした。

 

相愛のSAAM(サーム)ジャッキは、それをコンパクトにし、人力で搬入でき、スペースもそれほど取らずに試験を行えるようにした使い勝手の良いジャッキなのです。

短時間で従来よりも多くのアンカーを試験することが可能になるなど、法面の安全性の維持管理に大いに役立てられています。

 

今回は、このSAAM(サーム)ジャッキを使った試験の研修用施設として、実物のアンカーを相愛の敷地内に作ることになりました。

設置場所は旧工事部棟の前の斜面。職場のご紹介ページの地図で言うと⑮の左の建物の下の斜面ですね。

普通なら現場に行かないと見られない作業なので、好奇心、いや向学心にあふれた社員たちが見学にきていました。

作業の説明を行うアセットマネジメント課・弘田朋志。

なぜかうなだれて聞く見学者の2人。

設置のためにボーリングして堀った孔。ここに取り付けます。

 

この斜面をボーリングして調査したところ、5メートル下に岩盤があらわれたので、この岩盤層でしっかりとアンカーを固定することにしました。

 

すでにボーリング作業は終了していたので、この日の作業はアンカーをこの孔に挿入して、孔のすきまをセメントで埋めて終了。

数日寝かせてセメントのかたまりを待ち、アンカーを引っ張って、所定の緊張力にセットしていきます。

今回設置するのは一番細いタイプのアンカー。

この中を7本のワイヤーが通っています。表面をセメントで固着しても、中のワイヤーが伸び縮みできるため、引っ張って緊張力を持たせることができるのです。

太いアンカーだと持ち上げるのに大人5人とか、かかるのだそうです。

アンカーとセメントを流し込むホースを一緒に入れていきます。

奥をセメントで固めるため。まず数本のケーシングパイプを引き抜いていきます。ボーリング関連作業はこのケーシングパイプの抜き差しが大変です。「地質を探るボーリング調査」をご参照ください。

セメント投入中。

しばらくすると水が溢れてきましたが、これはボーリング孔に地下水が流れ込んだもの。この水がセメントの濃度になるまで注入し続けます。

ほいでもってまた、残ったケーシングパイプの抜き取り作業。

こんな塩梅で、斜面にアンカーが定着されていきます。

あとはセメントのかたまりを数日待つだけです。

作業前半戦終了。相愛アセットマネジメント課と協力会社・中村土木の皆様、

お疲れ様でした。

 

数日後

10日ほどたったある日の旧工事部棟前斜面

アンカーがでべそのように屹立しております。

 

本日の作業では、前回セメントで固着したアンカーに荷重をかけて引っ張り、一定の緊張力を持たせて固定し、実際のグラウンドアンカーの状態を作ります。

 

まず受圧版を設置後、アンカーを引っ張って仮緊張させ、受圧版の沈み込みが落ち着くのを待って、最終的には 160kN(キロニュートン)の荷重をかけて固定します。

表面の土を平らにします。後ろに控えし鉄の板が受圧版。

ユニッククレーンを上手に操作し、アンカーにかぶせていきます。

相愛の誇る新技術SAAM(ジャッキ)を装着。

荷重をかけてアンカーを引っ張り仮緊張させます。

仮緊張は、固定させる160kNより大きい200kNの荷重をかけて行い、地盤の締固めとアンカーが岩盤にしっかり固定されているかを確認します。

すでにこの状態で、土が受圧版の隙間からめりめりと出てきました。

受圧版全体が土にめり込んでいっているんですね。

このめり込みというか沈み込みが落ち着くのを待って、本緊張を行いアンカーを定着させていきます。

とりあえず午前の部終了、皆様お疲れ様でした。

 

でもって、夕方。

沈み込みも落ち着いてきました。

SAAM(サーム)ジャッキを一旦外して、アンカーの伸び縮みを計るロードセルを装着。

も一度SAAM(サーム)ジャッキを装着し、さまざまな個所に沈降度合いを計測するメーターを設置して、最終調整。

荷重をかけて本緊張を行います。

定着完了の図。ハイチーズ。

本緊張は160kNの荷重がかかっていますので、重量にして約16t! この土の中で、アンカーは岩盤に固定され、非常に強い力で引っ張り続けられているわけです。

仕上がりの図。中央のコードが出ている機械がロードセル。

これから約1週間くらい、1時間おきのデータを取っていきます。

 

沈み込みに関しては、現場の土の強さにもよりますが、土が締めかたまり沈降が止まるには1カ月程度かかります。

そういった基礎データの採取や、緊張力のテストを行う他、SAAM(ジャッキ)を使った試験のデモンストレーションなども、この研修用のアンカーを使って行っていきたいと考えています。

視察等ご関心のある方は、お気軽にご相談ください。

夕方の部でも見学者が入れ替わり立ち代わり。

最後の方はアンカーの話というより、ほぼヨタ話。

まあ、これはこれで大切な情報交換の時間ですね。