0012 台風17号来襲!仁淀川高水流観!
9月3日~4日、台風17号が高知県に接近。
長時間にわたって猛烈な雨を降らせました。
県内でも時間雨量50ミリ以上が相次ぎ、室戸市では3日、時間雨量122ミリを記録しました。
相愛ではこのように台風が接近し、雨量が急激に上昇すると全社員に対し、ある業務の出動待機命令が出されます。
それが仁淀川高水流量観測。読んで字のごとし、水位の高くなった仁淀川の流量の観測です。
暴風雨集めて早し仁淀川
流量観測、略して流観というこの業務は長期間にわたって、定期的に川の流量を観測する業務。
川の水位から断面積を割り出し、流れの速さを測定することで流量を算出していきます。
何年何十年にもわたり計測されたデータは、河川の治水・利水・環境計画の基礎資料となり、河川改修計画(川の断面を広げたり、堤防を高くしたり)など様々な河川計画にいかされています。
普段の穏やかな流れを観測するのが、低水流観。
台風接近時など増水した河川を観測するのが、高水流観です。
激しい雨が降る中、各部署から歴戦の猛者が集められました。
右端が隊長・茨木。
この日の流観は午前9時スタート。
仁淀川橋が架かる本流の他、支流4か所でも観測が実施されました。
投入された社員は総計20名。ある程度水位が下がるまで、1時間おきの観測作業が続くので、交代要員も社内待機。
過去最長で3日連続続いたこともありました。
さて、高水流観の方法ですが、橋の上から荒れ狂う水面に向かって浮子(ふし)を投下し、川下で待ち構える第一通過点(第一見通しと呼ぶ)と、そのさらに50m川下の第二通過点(第二見通し)の間を何秒で通過したかを計ります。
流量の計算に必要な水位は、川に常設されている水位計で計測していきます。
こちらが浮子。川の深さによって長さを変えて投下します。
仁淀川本流の投下点は川幅を均等に割った7か所。
手前のポールが第一見通し、対岸の堤防にある2本の線がそれぞれ第一、第二。
第一のラインを通過したら計測スタート、第二のライン通過でストップ。
もちろん第二のラインは第二見通しのスタッフが通過チェックします。
こちらが対岸の第一、第二見通し。本流は川幅が広いので、浮子を見失わないよう右岸側と左岸側それぞれに人員を配置し、浮子の流れを計測します。
別途水位を計測するスタッフ。ずぶ濡れです。
投下現場に向かうスタッフ。
浮子を運び、場所によってはジョイントして長さを調整。
上部に目印の旗を装着して投下します。
一部始終を動画でご覧ください。
投入時は「ようい! と~か!」が合図。
見通し通過時は、「ようい! つ~か!」が合図。
つ~かの「か」でストップウォッチをオンオフし、正確に計測します。
投下された浮子が濁流を流れる映像はこちら。
ちなみにこの激流ではとても浮子は回収できません。
そのため、なるべく環境に負荷をかけないように、紙と砂(おもり用)で作られています。
仁淀川が増水した際、上流域でその流れを受け止め調整弁の役割を果たしているのが、河口から約66㎞の地点にある大渡ダム。
しかしダムの貯水能力にも限界があり、一定程度たまると放水を行う必要があります。
この日は午前11時ごろ、2641トンの最大放水を行ったとの連絡がはいりました。
その巨大な流れが仁淀川橋観測地点に到達するのは、約3時間後。
お昼からは雨も上がり、風も威力を弱めたのですが、観測する一同は、そのピークに向けてじっと水面を見守ります。
ピーク時近くを撮影。空に晴れ間が見えてきても、上がり続ける水位。
河川敷の駐車場が冠水していきます。
隊長・茨木の経験では過去9m21㎝まで上ったことがあり、対岸の堤防際道路が浸水したようですが、この日のピークは7m2㎝。
上記動画あたりまで増水した後は、おだやかに引いていきました。
とはいうものの、この流れ。まだまだ流観は続きます。
対岸では公園まで水が溢れていました。
午後5時。だいぶ水位が引いた状態での観測。
第一、第二見通しが立っている地点はピーク時には水没していたところです。
だいぶ水が引いてきました。
午後6時の観測。暗くなり旗が見えにくくなってきたのでサイリュームという発光する目印を装着します。
この日は午後7時までの観測で水位が収まり撤収となりました。
観測開始当初は急激な水位上昇に気をもみましたが、大ごとにならず、ほっと肩をなでおろす一同。
ずぶ濡れで疲労困憊でしたが、安心して帰途に就くことができました。
緊急時、防災データにも役立てられる流量観測業務。
相愛はこれからも、仁淀川の優駿な流れを見守っていきます。
この日、高知市では2重の虹がくっきりと見えて大騒ぎ。
仁淀川橋からもちょろっと撮れました。