0225 IoTグラウンドアンカー緊張力遠隔監視システムがソラコムのYouTubeに取り上げられました
自社開発した「IoTグラウンドアンカー緊張力遠隔監視システム」が、株式会社ソラコム公式YouTubeチャンネルの【突撃!あなたの現場のIoT】特集に取り上げられました。
本記事では、動画では説明しきれなかった内容も含め、グラウンドアンカー維持管理の概要と、開発したIoTシステムをご紹介します。
グラウンドアンカーは、岩盤に打ち込んだ鋼材の緊張力で斜面や構造物を安定させる技術です。しかし、鋼材やコンクリートの経年劣化で緊張力の低下が起こる可能性があり、定期的なメンテナンスが必要です。弊社ではアンカーの維持管理に、小型で軽量な「SAAM(サーム)ジャッキ」を開発。足場の仮設やクレーンでの搬入が困難な現場でのメンテナンス試験を可能にしました。
また、SAAMジャッキを用いたアンカー緊張力の面的調査の他、アンカー緊張力の長期モニタリングも行っています。調査結果を基にモニタリング箇所を選定し、荷重計を設置することで、アンカー緊張力のモニタリングが可能となります。
しかし、計測した緊張力データは、現場に設置したデータロガー内保存されるため、従来は、年に数回現場にデータを取りに行く必要がありました。大雨発生時や地震発生時など、のり面状況を即座に状況を把握したい場合でも、現場に行く必要がありました。また、アンカーはのり面に設置されるため、現場に辿り着くことも一苦労な現場も数多くありました。
これらの課題を解決するため、IoTを活用し、緊張力をクラウドに飛ばすシステムを開発しました。特徴としては、
・汎用マイコンと汎用通信モジュールを組み合わせ、IoTデバイスを構築したこと
・省電力で遠距離通信可能なLTE-M通信を採用したこと
・現場通信環境に応じ、NTTドコモ回線もしくはKDDI回線を選択できること
・現場への設置が容易な電池駆動であること
・電池駆動で1年以上通信可能であること
・ダッシュボード画面で、緊張力等のデータを確認できること
などです。
動画では、ダッシュボードについては触れていませんので、ここでご紹介します。
こちらが、グラウンドアンカー緊張力のダッシュボード例です。
現場では、アンカー緊張力に加え、気温も計測しており、クラウド側で緊張力と気温の関係を分析し、決定係数R²として表示しています。
また、現場近傍のアメダス気象データもダッシュボードに表示し、データ分析に役立てています。
本システムを導入することで、「緊張力データ回収のために現場に行く」から、「遠隔モニタリングした緊張力データに基づいて必要に応じて現場に行く、または適切な対応を行う」ことが可能となりました。
弊社では、引き続き、IoT等の技術を柔軟に取り入れながら、新しい価値を提供していきます。
SAAMジャッキを用いたのり面の健全性評価調査の詳細や依頼は、こちらまでお願いします。
なお、IoT技術を、木質ペレット残量検知や、木質ペレットヒーティングシステムの設備異常検知にも活用しています。
(記:事業部 防災地質課 須佐美俊和)