0214 産総研GSJ地質調査研修に参加しました!

2024.06.21

カテゴリー: 活動報告, NEWS
タグ: 地質調査

5月末に、地質人材育成コンソーシアム主催の2024年度第1回追加地質調査研修に参加しました。研修の目的は、基礎的な座学と野外研修を通して、初歩的な野外地質調査の方法と地質図の作成方法を学び、地質図をどう見れば良いかを理解することです。

 

産総研とは?GSJとは?

産総研(AIST)は、国立研究開発法人産業技術総合研究所の略称で、茨城県つくば市に本部がある経済産業省所管の公的研究機関です。「エネルギー・環境」「生命科学」「エレクトロニクス・製造」「情報・人間工学」「材料」「地質」「標準・計測」の7領域を主軸に、日本の産業技術の多くを網羅しています。

 

GSJ(地質調査総合センター)は、国として行なうべき「地質の調査」を実施する組織として産総研の地質に関連するユニットから構成されています。明治15年(1882)に前身の地質調査所が創立されて以来、138年にわたり地質にかかわる研究を行っています。

 

研修1日目

1日目はつくば市産総研内研究室にて、座学を受けました。座学では、地質調査の目的、地形・地質情報の入手法、地質図について、地質調査の道具と使い方、調べたことの表し方、地質調査の基礎、記載の例等、地質調査を行う上で必要な知識を学びました。

 

野外地質調査研修で岩盤の粒度判定に使用する表を作成中。2日目以降は、この粒度表が大活躍でした!

 

研修2日目

研修2日目の午前は、産総研内の地質標本館にて見学実習です。標本館内には、沢山の興味深い地質標本があり、時間があれば一日中見て回りたかったです(笑)。

 

糸魚川-静岡構造線活断層系の活断層と津波堆積物の実物標本が展示されていました。調査した壁面の中で最も明瞭な主断層の部分を剥ぎ取って作製されたそうです。この実物標本からは、最近2回分の過去の大地震の痕跡を読みとることができます。

 

研修2日目の午後は、茨城県ひたちなか市那珂湊海岸に移動して海岸露頭(地層や岩石が露出したところ)での調査実習を行いました。礫や砂や泥等が堆積して形成された岩の層厚(層の長さ)を測り、粒度表で岩の種類をそれぞれ判定し、クリノメーターを使いの層理面の走向・傾斜(岩体がどの方向に続いており、その面が水平面から何度傾いているのか)を測定しました。これらの調査により、露頭の堆積構造が明らかになりました。さらに、野帳(ノート)に調査した内容を詳細にスケッチしました。

 

その後、福島県広野町のホテルに移動しました。夕食後、近くの公民館内会議室で座学とデータのとりまとめ作業です。那珂湊海岸で野帳にスケッチした図面にペン入れしたり、岩の種類によって色鉛筆で色分けしたりしました。

 

時刻は夜の20時頃、ぬり絵に没頭する弊社のおじさん2人。21時にこの日の作業は終了です。お疲れ様でした。

 

研修3日目と4日目

3日目と4日目は、広野町の研修地で野外研修をしました。3日目は、盆地を流れる小川を下流(東側)に向けて歩きながら、小川両岸の露頭を2日目と同じように詳細に調査して地形図にスケッチしていきます。道中で堆積した岩の種類が変化するところが、地層と地層の境界になります。この地層境界を地図に書き記していくことが地質図を作成する上でのベースとなります。

 

4日目は、3日目の小川から約700m真南に位置する山の沢から下流(東側)に向けて野外研修開始です。3日目の小川で下流まで調査しているので、同じ地層から始まり途中で地層が変化する予測が立ちます。沢で変化した地層が小川で変化した地層と整合していれば、その地層が南北に続いていることが分かります。おもしろくなってきましたね!

 

4日目の夜も近くの公民館内会議室でデータのとりまとめ作業です。小川と沢でそれぞれ作成したルートマップを基に、縮尺の大きな地図にそれぞれ転記して、地層境界を教わった手順で結んでいきます。地層境界別に色を塗ったら、研修の目的である地質図の完成です。

 

研修5日目

最終日の5日目、福島県広野町海岸の露頭見学だったようですが、台風接近のため予定を変更して、広野町の双葉断層の見学に行きました。断層とは、地下の地層や岩盤が周囲から押されることで生じる地盤の「ズレ」によって、元は繋がっていた地層がある面を境に食い違っている地層構造のことをいいます。写真の地層構造に簡単な線を入れてみました。ズレているのが分かりますね。

 

断層面を境に急速にズレ動く様を断層運動と呼び、その衝撃が振動として地面に伝わるものが地震です。

 

研修の最後に、いわき市アンモナイトセンターに行きました。館内でセンターの職員の方から、アンモナイトやこの場所の地層についての講義を受けました。

 

施設は、約8,900万年前のアンモナイト等の化石が集中して発見された地層をそのまま建物で覆っているため、館内で発掘されたままの大きなアンモナイトの化石を見ることができます。

 

施設横の斜面は屋外体験発掘場となっており、館内と同じ地層をハンマーやタガネを使って、化石の発掘体験ができます。いざ、発掘開始!

 

アンモナイトの化石を期待して、同僚が大きなコンクリーション(堆積物の砕屑粒子間の隙間に鉱物が析出・充填することによって凝結した天然のセメント。炭酸塩コンクリーションは、生物起源と考えられ、有機物中の炭素と海水中のカルシウムなどが結合し、方解石などの鉱物が沈殿してできることから、割ると化石が含まれていることが多い。) を割って開いてる時の写真です。大きかったので、割るのにかなり苦労した様です(笑)。

 

貝の化石は沢山発掘できましたが、アンモナイトは残念ながら発掘できませんでした。

 

最後に

かなり割愛させていただきましたが、これが産総研GSJ地質調査研修の内容です。

研修中親身になって全力指導してくださった利光先生とスタッフの住田さんに感謝の意を込めて心より御礼申し上げます。そして、参加された他社の皆様、お疲れ様でした。

重要なことは、教わった技術や知識、地質への考え方を我々の周りにどう伝えていくか、我々の業務にどう生かしていくかだと思います。そして、これからも日々新たな成長の機会に接していこうと思います。

俺たちの戦いはこれからだ!    -完-