0030 南海トラフ地震に備えて、防災井戸の設置

2014.08.26

カテゴリー: 活動報告

今回は8月20日に取材した薊野・岩屋中央町内会の防災井戸のご紹介。

岩屋中央町内会は、高知インターの下北西に広がる200世帯以上からなる大きな町内会です。

防災用に井戸を掘り、手押しポンプ1つと蛇口が3つついた機械ポンプを設置しています。

 

この井戸は、今年相愛が地下水脈を調査して設置したもの。

8月3日に竣工式があり、RKC高知放送さんが取材に来る予定だったのですが、当日は大変な大雨になり、全高知市民に避難勧告が出る危険な状況となったため、日を改めてこの日取材を受けることになりました。

町内会長の大原さんにお話を伺いました。

薊野・岩屋中央町内会会長・大原正広さん

 

「3年目の東日本大震災の後、町内会でも南海トラフ地震に向けて防災体制を整備する計画がしきりに議論されました。

12名いる班長が集まって喧々諤々、いろいろな策を練ってきたのですが、やはりまず必要なのは水の確保であろうという話になり、防災井戸の設置を具体化していきました」。

「このスペースは、月に一度の不燃ゴミの収集場として活用している場所です。

県のハザードマップでも津波で浸水しない場所とされており、地域に近く屋根もあり、広い面積が確保できるので、井戸の設置には最適という話になり、元相愛社員の副会長・山崎さんを通じて相愛さんに相談に行きました。

毎年積み立ててきた町内会費内で井戸の調査から設置まで、相愛さんの方でやっていただけることになり、この春、正式に依頼させていただきました」。

高架下の県有地を許可を取り活用しています。

皆で発電機の使用法を実地練習。

機械ポンプを動かす発電機は、カセットコンロ用のガス2本で稼動します。

約2時間半の連続使用が可能。併設する倉庫に、発電機とガスを備蓄しています。

 

井戸の仕組みも簡単で、発電機を稼働させ、弁を開けて蛇口をひねれば、すぐに水が流れ出します。

手押しポンプも実際に使ってみて、いざという時に備えます。

この日集まった地域の皆さん。RKCさんが来る前にちょっと打ち合わせ。

 

相愛水担当・藤岡によれば、このあたりは、井戸を使っているご家庭も多く、近くに薊野川も流れていることから、指定されたこの場所でも地下水がある可能性が高かったと言います。

その診断の元、7月3日~11日にかけて調査ボーリングを行い地下7m50cm~3m50cmの粘土混じり砂礫層に、潤沢に流れる地下水脈を発見しました。

ボーリング調査の様子。

揚水試験の様子。

検査の結果大腸菌が若干出たため、滅菌濾過や煮沸をせねば飲用としての許可はおりませんが、その他、匂いもなく生活用水として十分なレベルです。

 

流量に関しても、通常の水道用井戸の場合200Wのポンプで毎分21L程度のところ、こちらは400Wのポンプで33L汲み続けられる量なので申し分ありません。ちなみに、手押しポンプの方は、1ストローク(1回の手押し)で1L出ます。

蛇口1本につき11~12Lの水が潤沢に流れ出ます。

相愛水担当・藤岡。おもむろに手を突っ込んで一言。

「うん、18℃! いい水だ」

 

ポンプは定期的に使用しないと、不純物を吸い込み、水が濁ることがあります。

そのあたりの対策を大原さんにお伺いした所、「月に一度の不燃ゴミの収集の時、当番の班長が責任を持って1時間程度水を放出することに決めています。メンテナンスもばっちりです」とのこと。

いざという時に備えて、万全の態勢で取り組まれていることがわかりました。

そうこうしているうちに到着したRKCの皆様。

早速、大原さんに取材を開始するRKC植村記者。

弊社・藤岡も丁寧に井戸の説明をさせていただきました。

テレビ用に一度カバーをかけておいた井戸を御開帳。

じゃん! このアングルだと絵的にさびしい感じがしますが、プロのテレビカメラには、ピカピカの防災井戸がしっぶ~くとらえられているハズ!

発電機の取り付けから水の放水まで、一通りの作業をカメラの前でデモンストレーション。

インタビュー形式で、説明も一通り収録されました。

 

植村記者に聞いたところ、「地域住民が自主的に防災に取り組まれている点が、今後の南海トラフ地震に対する備えとして非常に重要だと考え、取材させていただくことになりました」。とのお話。

災害被害を最小限に抑えるための自主的な取り組みが、今、注目されています。

 

ちなみに、この日の模様は、8月21日のニュース番組「こうちeye」にて放映されました。

防災井戸の看板。中央下に、ちょこっと株式会社相愛の文字が…。

テレビでは確認できませんでした。が、むろん大きな問題ではありません。

 

最後に大原さんからメッセージ

「薊野一宮地域は、学校にも貯水タンクが備え付けられていません。

この井戸は、岩屋中央地区の会費で設置しましたが、南海トラフ地震他、災害が発生した際には、広く近隣の皆さんにも使っていただき一緒に災害を乗り越えたいと考えています」。

このような設備が県内あちこちにでき、重要な「水」のライフラインが一刻も早く整備されることを期待したいと思います。

相愛では、現在高知市内の小学校、養護学校から同タイプの井戸の設置を依頼されております。

自分たちの地域でも、井戸の設置が必要だとご検討されている地域の皆様がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽に弊社までご相談ください。

地質調査、水資源調査60年の歴史で、皆様のライフライン整備のご期待に応えていきたいと思います。

南海トラフ地震対策、頑張りましょう!

片づけまで残られた皆さんで記念撮影。

本日はお疲れ様でした!