0013 地質を探るボーリング調査
相愛が長年手掛けてきた地質調査は、見えない地面の中が相手の作業。
この地面の中の状態を知るのに一番有効で直接的な方法はなんといってもボーリング調査です。
ボーリング調査では、実際に地盤を掘り進み、地中の土を試料として掘り出してきます。
数メートルから時には数十メートルにもなる試料を掘り出してきます。
この試料(コアサンプル)を用い、先日紹介した土質試験室で土の物理試験などが実施され、地盤の詳細な情報(土の分類、強度など)が分かります。
今回は川の橋脚建設予定現場にて、地盤の状態を探るために行われているボーリング調査をご紹介します。
これがボーリング現場の様子。足場の上にあるのがボーリングマシン。
ボーリングロッドの先端に試料採取用のコアチューブを装着し、土にねじ込んでいきます。
空洞のコアチューブの中には試料の土が詰まっていきます。
ボーリング孔。孔の壁面をガードするためのケーシングパイプを入れています。
山積みのケーシングパイプ。直径の大きさごとにつなぎ合わせ掘り進むごとに土中深くまでガードを固めていきます。
最終的にはこれが全部地下深くまで埋まります。
ボーリング調査は、地盤の締まり具合や硬を計る標準貫入試験とセットで掘り進められることがほとんどです。
標準貫入試験とは、土を掘り取るサンプラーを先端に付けたロッドを地面に打ち込むことで土中の試料を取り、30cm貫入するためにかかった打撃回数を計測して土の固さを分析する試験。
具体的には63㎏±0.5㎏の重りを76cm±1cm自然落下させて棒を地面に打ち込み、貫入していきます。
この時の打撃回数を専門的にはN値と呼び、回数の多いほど硬い地面ということになります。
自然落下させる63㎏±0.5㎏の重り。
重りは機械で引っ張り上げ、半自動操作で打撃を加えていきます。
ちなみに上の人は、ロッドが傾かないよう支えています。
この試験は1mピッチで行うことになっているので、都合、地面から地下1mまではコアチューブで掘り、そこから50㎝(前打ち15cm、本打ち30cm、後打ち5cm)は標準貫入試験で掘り、そこから2mまでの50cmをまたコアチューブで掘り…と、交互に器具を変えて掘り進んでいくことになります。
打撃回数は本打ちの30cmを貫入するときに計測します。
本日1回目の標準貫入試験でサンプラーを開けた所。
表土は盛り土のようです。
コアサンプルを入れるコア箱。堀った順に左上から詰めていきます。
左右の長さが1mなので、ひと箱5メートル入ります。
今回標準貫入試験で取ったサンプルは、後で土質試験室に搬入され、含水試験や粒度試験などが行われる予定です。
足場からボーリング孔を覗く。今回の現場では地下40数mにあると予測される岩盤まで掘り進めていきます。
ボーリングロッドの長さが1本3mなので、これを16本つないで48m。
50cmごとに採取する器具が違うので、そのたびごとにこれをつなぎながら投入、外しながら引き揚げ、という手間のかかる作業に突入していきます。
1日に掘れる距離は約5m。40m以上なので10日近くかかるのです。
ボーリングロッドの上げ下ろし、つなぎ直しを何十回と行います。
ボーリングマシンを操り、きれいな試料を掘り取るのは熟練の技術が必要。
現場現場で土中の状況は違うので、機械の音を聞き、ケーシングの入り具合を目と体で感じて、ロッドの回転・貫入スピードを調整します。
臨機応変の細やかな対応が必要となるのです。
この日は、3mまで掘り進んだ後、孔内水平載荷試験も行いました。
孔内水平載荷試験は、ボーリング孔に円筒状の風船のような測定器を挿入して水圧で膨らまし、地盤の水平方向の強度や変形特性を計る試験。
ボーリング孔の出来具合により結果が大きくことなるため、ボーリング技士の腕の良さが求められます。
ゾンデと呼ばれる測定管。水圧で膨らみます。
水を入れて微妙に膨らんだゾンデ。わかりますか? 微妙です。
試験に使う器具。左から窒素ガスボンベ、計測器、測定器ゾンデ。
器具のスタンバイが終わったらボーリングロッドをつないで、観測地点まで挿入。
ゆっくり正確に挿入していきます。
測定開始!
N値によって変わりますが、今回はガス圧・水圧を0.5、1.0、1.5、2.0と順にあげていき(つまりゾンデを膨らませて)15秒後、30秒後、1分後、2分後の測定器の水位を計測していきます。
で、30秒と2分後の水位の差が大きく開いた時点が孔の崩壊(亀裂など)が起きたポイントとなるため、そこで測定を終了します。
この日の測定は2時間近くかかりました。
今年はボーリングの依頼が相次ぎあっちの現場にこっちの現場に大わらわなスタッフですが、安全第一、丁寧な作業で正確な地質調査を行ってまいります。
地質調査・ボーリング調査のご用命はぜひ相愛まで。