0183 国内で分布を拡大している外来テントウムシを四国地方から初めて報告しました
弊社自然環境調査課では、高知県内における昆虫類調査を実施しています(過去の活動報告がご覧ください)。
本活動における成果の一部が論文(短報)として公開されましたので、ここで紹介させていただきます。
今回、記録をした外来種のテントウムシは、弊社社員の辻󠄀が、プライベートで安芸市の公園周辺を散策していたところ、草本植物の葉上にいる本種を発見しました。
下記に標本写真を示します。
モンクチビルテントウの標本写真
大きさは2.5mmほどで、一般的によく見るナナホシテントウ(体長8mm程)と比べてはるかに小型です。
鞘翅(さやばね)は赤色で、そこに4つの黒紋を持つのが特徴的です。なお、在来種であるヨツボシテントウというテントウムシに似ていますが,黒紋が大きく横長である点で区別されます。
本種は中国・台湾・ベトナムに自然分布しており、日本国内では1998年に南西諸島から記録されて以降、国内で分布を拡大しています。
2018年に出版された図鑑(テントウムシハンドブック,文一総合出版)で、分布は本州・九州地方(島嶼部含む)のみが掲載されており、四国での分布が確認されていませんでした。今回の報告が、四国地方から初めての記録となります。
本種は他の一般的なテントウムシ類と同じくアブラムシ類を捕食するのですが、在来のテントウムシ類と食べ物が重複しており、在来種と競争関係にあるものと考えられています。
今のところ高知県内では、本種が在来種に影響を与える程には勢力を拡大していないものと考えていますが、動向には注視していきたいと思っています。
なお、当論文はオープンアクセスで、下記のURLから閲覧ができます。もし興味のある方がおられましたら、是非ご覧ください。
「南予生物フイールドノート」南予生物研究会HP
http://www.cnw.ne.jp/~tuzihaze/online.html