0107 「IoT異常検知」。木質ペレットヒーティングシステムの設備異常にいち早く対応!
前回の記事で、「IoT木質ペレット残量異常検知システム」(以下、残量検知システム)について書きました。今回は、このシステムに仕込んだ「IoT異常検知」について、仕組みと導入効果について書きたいと思います。
背景
当社では、木質ペレットヒーティングシステム「木燃(MOK-NEN)」の開発・製造・販売・維持管理、木質ペレットの配給を行っています。「残量検知システム」を導入した結果、見回りによるペレット残量確認工数を削減することができ、ペレット配給の効率化を図ることができるようになりました。
一方、設備異常に関しては、お客様からの電話連絡に頼っており、異常発見が遅れることがありました。この課題解決のため、木質ペレット残量システムに、「IoT異常検知機能」を組み込むことを検討しました。
実現したい仕様
前回の記事で紹介した「残量検知システム」に、次のような仕組みを組み込むことを目指し、開発をスタートさせました。
・センサーで、木質ペレットヒーティングシステムの設備稼働状況を計測し、
・設備稼働データを、残量データとともにIoT向け通信でクラウドに送信し、
・異常発生時に、設備メンテナンス担当者のスマートフォンに自動通知が来るシステム
開発したもの
現状、木質ペレットヒーティングシステム「木燃」の設備異常発生時は、制御盤が設備異常信号を出し、赤ランプが点灯します。この設備異常信号を、赤ランプだけでなく、ペレットタンク上部に設置した残量検知システムに送ることにしました。
設備異常信号は24Vの有電圧接点であるため、リレーを介し無電圧接点に変換します。リレーと残量検知システム間を電線で接続することにより、無電圧の設備異常信号をシステムに送ります。システムで得られた設備稼働データを、ペレット残量データとともに、IoT通信を用いてクラウド(SORACOM Harvest)に送信します。
スマートフォンへの通知設定には、ソラコム社のSORACOM Lagoonのサービスを用いました。これにより、設備異常時にスマートフォンのSlackアプリに通知がくる仕組みを、簡単に構築することができました。設備メンテナンス担当者は、この通知機能を活用し、能動的なメンテンスを実施します。
「IoT異常通知機能」を、自社でペレット配給から設備メンテナンスまで行っている全70基に導入することで、”オフライン”だった設備稼働状況を、”オンライン”で把握できるようになりました。
導入効果
日々の設備稼働状況を知ることができるだけでなく、お客様に先んじて設備異常を把握し、お知らせできるようになり、メンテナンス対応の質を向上させることができました。
まとめと今後の展開
木質ペレット残量検知システムや設備異常検知システムの開発を通し、IoTによる現場状況の把握、そしてデータに基づく現場判断のメリットを、実体験することができました。また、自社開発するからこそ、自社の課題に対して柔軟に対応できることもわかりました。
今回、木質バイオマス事業の中でIoTを活用しましたが、ここで得られた知見を活かし、グラウンドアンカーのり面緊張力の遠隔モニタリングや、その他防災分野など、他の”現場”への横展開を現在検討しています。これに関しては、次の記事で紹介したいと思います。