0105 高知発「IoT木質ペレット残量検知システム」!県内約70箇所で実運用中

2020.12.10

カテゴリー: 活動報告

IoTを用いた「木質ペレット残量検知システム」を自社開発し、2019年冬から実運用しています。今回はその仕組みと導入効果について書きたいと思います。

 

背景

当社では、豊富な森林資源を燃料として活用できる木質ペレットヒーティングシステム「木燃(MOK-NEN)」を開発・販売しています。木質ペレットは、間伐材、木屑、おが屑などを原料に円柱状に圧縮加工したもので、再生可能な循環型エネルギーのひとつであるバイオマス燃料として注目されています。

 

この木質ペレットヒーティングシステムは、主に施設園芸農家様にご利用いただいています。当社では、全国200基以上超の導入実績のうち、約70基に対し、設備のメンテナンスから木質ペレット配給まで行っています。

 

これまで、燃料配給担当は平均週2回、各施設園芸農家様の現場を車で見回りに行き、燃料タンク内の木質ペレット残量を目視確認し、木質ペレットの配給計画をたてていました。見回りは大変な仕事であると同時に、決して燃料を切らしてはいけないというプレッシャーのかかる仕事でもあります。この見回り業務をIoTで改善するプロジェクトが社内で始まりました。

 

 

 

実現したい仕組み

次のような仕組みを目指し、開発をスタートさせました。

・センサーで木質ペレット残量を計測し、

・残量データをIoT向けネットワーク回線でクラウドに送信し、

・クラウド側でデータをグラフ化し、

・事務所内で全お客様の残量確認ができ、

・そのデータに基づき配送計画を立てられ、

・取り付けが容易かつ電池駆動であり、

・かつ安価なシステム

 

キー技術であるIoT。IoTとは何か?

ここでIoTについて、簡単に説明します。IoTはInternet of Thingsの略で、モノのインターネットと訳されており、モノがインターネットにつながることを意味します。背景として、スマートフォンの普及等によりセンサーが格段に安くなったこと、IoT向け通信を用いれば電池駆動が実現できること、IoT向け通信のエリアが全国に広がったことが挙げられます。

 

モノがインターネットにつながる、つまり「現場」がインターネットにつながること。これを通し「現場を知り、得られたデータに基づき現場を動かすこと」。これが最大のメリットだと理解しています。

 

今回、この技術を採用し開発を進めました。

 

既存技術の徹底活用~作らず、利用する~

IoTが有用とはいえ、IoTを活用した「システム」を実現するためにはハード、ソフト、ネットワーク、クラウドなど幅広い知識が必要になります。これらの知識を深掘りすることは、IoTの専門ではない私には難しいことでした。社内課題解決が目的であり、IoTの中身を詳しく知る必要はありません。そこでIoT関連サービスを使いやすい形で提供しているソラコム社の製品/サービスを徹底的に利用することにしました。

 

またケース等のハード部品や、センサーなど電子部品は、モノタロウ、秋月電子通商、スイッチサイエンス、SORACOM IoTストア等の通販サイトから購入できるもののみを採用しました。

 

開発したもの

木質ペレットタンクの蓋部に、距離センサー/電池/ソラコム社の通信機器等から成るハードを設置し、木質ペレットの表面までの距離を1日数回計測します。得られた距離データをソラコム社のIoT向け通信を用い、クラウド(SORACOM Harvest)に送信。ソラコム社のクラウドデータ可視化サービス(SORACOM Lagoon)を用い、得られたデータを自動的にグラフ化します。これによりお客様のペレット残量をPC/スマホで確認することができます。なお、電池駆動で1年以上優に動作するため、シーズン期間中の電池交換の手間はありません。

 

 

 

導入効果

木質ペレット残量検知システムを、自社で見回りを行っていた全70基に適用した結果、週2回の木質ペレット残量見回り工数はゼロとなり、木質ペレット配給業務に集中することができるようになりました。またリアルタイムに燃料残量がわかるため、残量を心配するストレスから解放され、かつ配給の優先順位を明確に決めることができるようになりました。

 

2019年冬から実運用していますが、大きなトラブルもなく順調に運用できています。引き続き、この仕組みを利用し「木質ペレット」を供給していきます。

 

次の記事では、IoT木質ペレット残量検知システムに仕込んだ、「異常検知機能」についてご紹介します。

 

なお、本取り組みは、ソラコム社にも紹介頂きました。

https://soracom.jp/case_studies/soai/