0101 海浜の汀線測量
今回は測量・地理空間情報課がどんな業務をしているのかご紹介します。
私たちの課では山や川、工事前の現場が比較的多いのですが、海浜に関係する業務もしています。
海の砂浜は波浪を弱くしたり、陸域への波の侵入を防ぐ、といった防災の役割や砂浜は動植物の生育など重要な役割を担っています。
そういった大事な海浜への影響を調査するため、相愛では砂の堆積量を計測する汀線測量という業務をしています。
汀線(ていせん)とは標高0mの海面と陸地の堺目を指し、汀線まで横断測量を行うことを汀線測量といいます。
その業務の様子をレポート致します。
業務場所に到着すると海浜状況を確認します。
この日は風が強くなかったので、波は比較的穏やかでした。
観測するための荷物を海浜に運び終わると、さっそく測量を始めていきます。
こちらの海浜では距離と高さを計測できる機器(電子レベル)と専用の標尺を使い、両端と真ん中の3側線を水準測量しています。
水準測量の計測方法を図示するとこんな感じです。
予め標高がわかっている基準点に標尺を立てて、測量をスタートします。
そこから変化点の高さや距離を測量し、基準点の標高からどれくらい下がっているのかを計算することとでA地点やB地点の標高を出す事ができます。
このように砂浜の変化点の標高と距離を計測し、点と点を結ぶことで横断面図を作成します。
この横断面図を使い、砂浜の体積を出します。
体積の計算方法は「平均断面法」という下図のような土量計算を用いて行っています。
「平均断面法」とは両端の面積(参考図:A1、A2)を平均してその間の距離(L)を掛け算することで体積を求める計算方法です。
汀線測量では既定の測線を数カ所計測し、前回と今回の測量結果の差分により、上記の計算を行って砂浜の体積量を算出します。
細長い棒状のものが標尺で、レベルを見ながらミリ単位で高さを測ります。
海浜にはごつごつした岩が多く、2mを超える大きなものもごろごろ。
汀線(標高0m)より深いところまで測量を行うので海の中にもどんどん入っていきます。
胴長(ハイチェストウェーダー)を着て作業するのですが、波が高いときはずぶ濡れになってしまうこともしばしば。
横断の測量後はドローンで三次元の写真測量を行います。
「三次元測量(3D計測)」は現在土木業界ではかなり広まってきている測量方法で、過去の記事<https://www.soai-net.co.jp/report/1759>に、概略や機器の紹介などを載せておりますのでぜひ御覧ください。
今回の現場では数百枚の写真を撮影し、その写真を専用ソフトでつなぎ合わせ、海浜を立体的に表示する三次元モデル(3Dデータ)を作成します。
飛行ルートを設定し、障害物がないか確認をしっかり行い、20分ほどで200枚弱の写真を撮影します。
ドローンから見た操作をしているわたしたちの写真です。
高度は約30m。
上からみるとかなり高いですね、、。
空から海を撮影すると透き通っていてとても綺麗です。
(残念ながら海中は計測できません。。。)
外での作業はここまです。3時間半ほどの外での作業を終え、帰社します。
社内ではExcelや図面や設計の際によく使われるツールのCADなどを使い、先程計測してきた横断面の面積算出や写真の整理作業を行います。
入社二年目の社員が担当して必死に作成中です。
そして専用のソフトを使い、先程ドローンで撮影した写真から、立体的な3Dデータを作成します。
200枚ほどの写真を取り込み、専用のソフトを使ってつなぎ合わせ、一枚の写真に↓
立体的に横から見ると、
こんなふうなデータになります。
このデータを作成することで前回のデータと比較し、目視で海浜の変化を確認することができます。
赤色の範囲は0.8~1mほど砂が増えており、青色の範囲は逆に0.1~0.5mぐらい減ったことを表わしています。
このように三次元技術を使えばレベルと標尺で計測した断面図による線の比較ではなく、全体的な地形の変化を面で比較することができます。
最近の土木業界ではドローンやレーザースキャナという機器を利用した三次元モデルの活用が推奨され始めており、弊社でも最新の技術を積極的に取り入れ、業務で活かしています。
今回は海浜の砂の堆積量調査のお仕事の様子をレポートさせていただきました。
また違う業務もご紹介していきますので次回をお楽しみに。