0043 木質ペレット暖房機木燃 天空のハウスで活躍中!

2015.05.14

カテゴリー: 活動報告

嶺北地域は、高知県の北側、四国山脈の中央部に位置する4市町村からなります。

山深い立地ゆえ森林原野率が約9割と高く、農業林業が衰退していく中他に主だった産業がなく、人口も減少の一途をたどる過疎化地域と言われています。

 

この嶺北地域でも特に1000m級の山々に囲まれ、平地が少なく人口減少の一途をたどっているのが土佐郡大川村。

現在の人口は約400人。

離島を除いて全国で一番過疎の自治体でもあります。

 

その大川村で相愛のペレット暖房機木燃(もくねん)を導入し、花卉栽培の高品質化を目指す若者がいると聞いて行ってきました。

農事組合法人山中農園・山中教夫さんと、愛犬のレオン。標高800mです。

 

山中さんはユリの栽培を中心に、62aの施設園芸ハウスで年間約15万本の花を栽培しています。

元々お父さんが兼業でやられていた花農家を継ぎ、2004年に就農。

最初は30a程度だったハウスを徐々に拡大し、経営も安定化。

2010年には代替わりを行って農場主になり、昨年法人化も済ませました。

標高800mにある「天空のハウス」。夜な夜な木燃が頑張って温めてます。

 

栽培する品種はオリエンタルリリー系のシベリアがメイン。

冠婚葬祭などによく使われるポピュラーな花で、売価も安定しており経営の安定化を計り、品質向上を目指すのに適している品種です。

作業スペースに貼られていた花屋さんの品種一覧より。センターがシベリアです。

 

「この環境を見てもらえるとわかると思うのですが、高知の中でも標高が高いので、朝晩の寒暖の差が激しく、花にとっては好条件なんです。開花した時の発色の良さには自信があります」。

 

山中さんが栽培しているのは、高知では珍しく6月中旬~11月に出荷する「夏秋もの」のユリ。高知は全国屈指のユリ産地と言われていますが、11月~5月出荷の「冬春もの」がメインで、県内の生産者がこぞって「冬春もの」を栽培するため、県内の市場から期待がかかり品薄な「夏秋もの」の栽培を手がけてきました。

 

就農当初は、土佐、高松、広島などの地方市場に主に販売していたので、問題はなかったのですが、徐々に規模拡大を行うにつれ、都市部の大きな市場への販売を目指すようになると、これがネックになってきました。

「高知といえば、冬春もの」。「夏秋ものは北海道、新潟」というブランドが業界内で固定化していたのです。

順調に生育中のシベリア。15万球の栽培は嶺北でも大きな規模です。

 

山中さんは高知県産の「夏秋もの」の品質の向上と出荷量の安定化をめざし、土佐町や本山の先輩花農家さん達とグループを結成することにしました。

グループ名は、とされいほくコンフィデンスフラワー(信頼の花)。

6年前に結成したこのグループ(現在は3名)の一員として、大阪など大きな市場の評価を高めています。

 

「土佐町の先輩農家・高橋さんの紹介で、あちこちの市場に顔を出して話を聞いてもらいました。関係性が深まり実際にこのハウスや周りの環境を見ていただくことで、評価も高まり信頼感も得ています」。

 

今では大阪の市場がメインの取引先となり、担当者からは品薄のシーズンに他の品種も栽培できないか、などといった相談も受けるようになりました。その他、関東方面の市場からも視察の申し込みが入る等、販路を順調に拡大しています。

「まだまだ勉強中」と日々の観察を怠らない山中さん。この熱心さと、花卉栽培に適した環境で、「夏秋もの」の品質を高めています。

愛媛大学農学部を卒業後、オランダ研修生時代の山中さん。

「花卉栽培のことを何も知らなかったので、オランダでは0からすべて学びました。各地から同年代の研修生がたくさん集まっていて、そういった交流の面でも楽しく、有意義に過ごせました」。

 

山中さんが木質ペレット暖房機木燃を導入したのは、2014年の3月。

今年も2台増やし、現在3台の木燃を稼働させています。

加温の時期は、秋が9月中旬~11月まで、冬が2月中旬~5月頭頃までで設定温度15℃で夜間のハウスの加温を行っています。

 

「大川で生まれ育ち、おじいちゃんが山の仕事をしていたこともあって、木を活用する試みに惹かれました。昔じいちゃんが、将来車を買うようにって木を植えてくれたりしていたのですが、今山の木にそんな価格はつきません。

木を植えるサイクルがなくなると大川も仕事がなくなります。微力かもしれませんが、木に価値を見出すような仕組みを作っていきたいなと思い、導入を決めました」。

 

まだ使用期間が短く、燃料コスト的な実感はこれからとのことですが、性能に関しては「全く問題がない、逆に重油よりも温度が上がりやすく感じる」と語ってくれました。

弊社・木質ペレット暖房機「木燃」。夜な夜な活躍中です。

 

安定供給をめざし、規模の拡大を行ってきた山中さんの農園にはいずれは独立を目指し、現在2名の方が従業員として働いています。

今まで、冬は農閑期として休養を取っていましたが、従業員の雇用を考えると冬場の経営も安定化させる必要があります。

木燃には、この冬場の加温で燃料費を軽減する期待もかかっています。

農事法人組合山中農園の皆様。ノウハウを学びいずれは独立を目指しています。

 

「高校、大学で村を離れてましたが、いずれは大川に帰ってくるつもりでした。

自然、人、なんでしょうね? とにかく自分にとって居心地がよく、えい村なんです。

だから、この村を花卉栽培のブランド産地に育てて、産業として育てたいと思っています。

ここで研修してもらって、ゆくゆくはそれぞれが独立して同じ山中農園・コンフィデンスフラワーとして、大きな市場にもどんどん出荷していく。

市場からの期待も高いですし、そういうことが十分に実現可能だと思っています」。

 

標高800mの「天空のハウス」で、ひたむきに花卉を栽培している34歳の青年は、決して背伸びすることなく、着々と夢の実現に向けて歩みを進めていました。

木質ペレット暖房機木燃が、山中さんの夢の実現の一助になるよう、相愛も頑張りたいと思います。

「仕事で辛いのは、思うように品質が上げられなかった時です。もう栽培の途中でわかるので、ハウスに行くのすら嫌になります。

逆に嬉しいのは、やはり思い通りの出来に仕上げられた時ですね。

相場があるので、必ずしも価格に反映されるとは限りませんが、それでも、技術的な進歩がわかるので嬉しいです」。

 

多岐にわたる質問にも、まったくブレずにお答えいただいた山中さん。

まさにコンフィデンスフラワー(信頼の花)と呼ぶにふさわしい栽培を行われているのだと感じられました。大川村の花卉ブランド化、期待大です。